冬でもキレイな手元で
誰かに花を贈ったり、おもてなしの場に花を飾ったりするとき、どんな花を選べばよいのか悩むもの。花の色に深みが増す秋。秋の花を使った「おもてなし」について、日本とパリで花の美学を学んだ中村俊月さんにお聞きしました。
花を贈ることは、心を贈ること

空間に華やかな彩りを、心に豊かさを与えてくれる花。花はヨーロッパでは空間装飾として発展してきました。
一方で日本には神々とのつながりや「おもてなし」という独自の考え方があり、日本人は自然との調和を重んじてきました。花のギフトは何より心の栄養になるのではないでしょうか。

花を贈るという行為は、贈りたいと思う気持ちはもちろんのこと、贈る相手のことを考えながら花を選ぶときから始まっています。
花を贈ることは、花を通した心のやり取りをする行為。言葉で伝えきれないニュアンスも、花なら伝えられるのかもしれません。
この時期見逃せないのは、秋バラの美しさ

秋から初冬に桐箱に入れて贈る花としては、カンボクやバラの実などの実ものや、ワレモコウやリンドウなどの秋の草花もおすすめですが、秋バラの美しさも見逃せません。
秋に咲くバラは春に比べて気温が低いため花色が濃くなり、ゆっくりと開花するのでより長く楽しめます。また、湿度が低いため香りもより強く感じるといった特徴があります。
意外と知られていないのですが、日本に流通している切り花の約3割はバラ。品種も1000を軽く超え、色や香り、咲き方もバラエティ豊かですからさまざまなアレンジメントが可能となります。
まずは気軽に“一花一葉”でいけてみませんか

自宅でも、お客様をおもてなしする場や日常生活で、ぜひ季節の花をいけてみませんか。花に決まりはありません。
ご自分が気に入った花を、ライフスタイルに合わせて自由に楽しむことが大切です。花器に限らず、お気に入りのカフェオレボウルや骨董市で見つけた皿などにいけてみるのも趣があります。
まずは気軽に"一花一葉"でいけてみましょう。
花はバラ以外にも、色が深まるダリアもおすすめ。花と葉っぱだけでなく、「花と枝」や「実ものと葉っぱ」など、秋にしかない実ものや紅葉の枝ものを組み合わせてもいいですね。
夏場に比べて長持ちするので、実ものが色づいていく過程や、花がゆっくりと咲いていく様も楽しめます。
豊かな植生に恵まれて自然と共存してきた日本は、切り花の品種数が世界随一。豊かな審美眼を養いながら、心を伝える花のある生活を一緒に楽しんでみませんか。