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陶芸家が伝授する、自分流目利きを育む器(うつわ)の楽しみ方

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何気なく目にする器。全国の産地それぞれの土、作り手や窯、焼き方などのさまざまな特性…陶磁器を少し知るだけで、新しい楽しさが見つかります。オトナが知っておきたい、陶磁器の種類や楽しみ方とは?

知っておきたい!日本の陶磁器5選

日本には、全国各地に「産地」と呼ばれる、昔から焼き物の生産がさかんな地域があります。まずは特に有名な産地と作風、特徴をおさえましょう。

“せともの”の由来、愛知県「瀬戸焼」

千年以上歴史のある、日本を代表する陶磁器。長い年月の中でさまざまな変化を遂げており、素朴な民芸調から優美な染付けまであらゆるテイストを生み出せるのが特徴です。丈夫で飽きがこないため、日常使いにぴったり。海外でも”SETO YAKI“として人気を集めています。

瀬戸焼

陶磁器の代名詞“せともの”として、日本全国へ広がっていった

純金並みの価値があった!?佐賀県「有田焼」

どこか日本画を思わせる精緻な絵柄、透き通るような白地に、豪華絢爛な絵柄。有田焼、一度はどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。朝鮮出兵によって連れてこられた陶工が作ったのが始まりとされるこの陶磁器は、ヨーロッパ輸出時には純金と同じ価値で取引されたと言われています。

有田焼

花、鳥、鹿などのモチーフが、金銀彩で華やかに彩られている

水がおいしくなる器!?岡山県「備前焼」

備前焼は、釉薬を使わず土と火のみで作られる、1000年以上続く焼き物。丈夫で素朴、かつ品格ある佇まいが特徴。水をまろやかにし、お酒をおいしくすると言われており、ビールグラスにもぴったり!通気性に優れており、切り花が長持ちする花瓶としても重宝されています。

備前焼

土の性質や窯の温度などで味わいが変化する

豪放華麗な美しさに目を奪われる、石川県「九谷焼」

江戸時代、加賀藩の命を受けた陶業家が始めたのが発祥と言われています。特徴は鮮やかな絵付けと大胆な絵柄。「九谷五彩」とよばれる赤、黄、緑、紫、紺青の5色で塗る彩法に、山水、花鳥などが配され豪放華麗!近年は若手作家によるデザインや、キャラクターやクリエイターとコラボした作品も増え話題となっています。

九谷焼

鮮やかさの秘密は、一度焼いた上に絵をつける「上絵付け」

素朴な中に“用の美”が息づく、栃木県「益子焼」

実は江戸時代の終わりに日用品として作られたのが始まりとされ、庶民の台所でも広く使われていました。大正時代になり民藝運動が高まると、実用性の中にある美しさ=用の美が注目され、新しい芸術品としての価値が高まりました。重厚な色合いとぽってりした肌触りが特徴。

益子焼

手になじむようなぬくもりあふれる肌触り

“自分だけの一点”を見つけて楽しもう

あなたはどれが気になりましたか?日本は陶磁器大国。実にたくさんの種類の器がありますが、“いい器”は人によってさまざま。色や形、手触りや重さなどが“しっくり”くる、そんな自分の心惹かれる一点をぜひ見つけてみてください。

また、自分だけの作品を作るのも楽しいもの。気軽に通える陶芸教室も増えています。心を落ち着け、土と向き合う豊かな時間をつくってみるのもおすすめです。

自分だけの作品を作るのも楽しいもの