冬でもキレイな手元で
「朝、ベッドから起き上がろうとしたときに膝がこわばる」
「階段を降りるときに足首が痛む」
「指を動かすと関節がズキズキする」
このような関節の違和感や痛みを「年齢のせいかな」と思っていませんか? 実は、これらは更年期が関係しているかもしれません。年齢を重ねれば誰にでも訪れる更年期。この時期になると様々なトラブルが起こることがあり関節痛もその1つです。
この記事では、更年期と関節痛の関係、痛みが出やすい部位、そして日常生活でできるセルフケアについて解説します。
つらい関節痛とうまく付き合いながら、快適な毎日を過ごすためのヒントを見つけていきましょう。
更年期とは?
更年期とは、閉経を挟んだ前後10年ほどの期間を指す言葉です。一般的には45~55歳の間とされています。
女性は、更年期を迎えると女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が低下します。その変化によって、さまざまな身体的・精神的な症状が現れるのが特徴です。
更年期と混同されやすいのは主に2つ。
更年期障害:更年期症状の中でも、特に日常生活に支障をきたすほどの症状
これらを正しく理解し、自分の体の変化と向き合うことはとても大切なことです。
更年期に現れやすい症状

●身体的な症状
・ほてり(ホットフラッシュ)
・発汗異常(多汗・冷え)
・動悸・息切れ
・関節痛・筋肉痛
・頭痛・めまい
・手足のこわばり
●精神的な症状
・イライラしやすい
・気分の落ち込み
・不安感・焦燥感
・睡眠障害
症状が表面には現れない人もいれば、日常生活に支障が出るほどの不調に悩まされてしまう人もいます。「私はツライけどほかの人は平気そうだから……」と我慢せず、しっかりとケアするようにしましょう。
更年期と関節痛の関係性
骨と骨が接する関節は、コラーゲンや水分を含む「軟骨」によって衝撃から守られています。
エストロゲンは、この軟骨を構成するコラーゲンの生成に深く関わっています。エストロゲンの減少により骨や軟骨、筋肉などにも影響を及ぼし、手足の関節痛やこわばりといった症状として現れます。
●更年期の関節痛が出やすい箇所
膝、肩、腰、手(手首・指)

更年期の時期は周りの環境の変化とともに症状が深刻化する場合も
更年期は体の変化だけでなく、社会的な環境や人間関係の影響も受けやすい時期です。
例えば子育てがひと段落し、親の介護が始まる人もいれば、職場での役割や人間関係の変化にストレスを感じてしまうことも少なくありません。こうした精神的な負担が、身体の不調をさらに悪化させることがあります。
更年期の関節痛は安静にすれば症状が和らぐ!?
関節痛は、日頃からよく使う部位に起こりやすいため、「酷使しているから痛むのかもしれない」と考える人も多いようです。
しかし、更年期の関節痛は、ホルモンバランスの変化によって関節の軟骨が徐々にすり減り、さらに血行不良によって炎症が起こりやすくなることが原因とされています。
関節の酷使などで関節痛になった症状と、更年期の関節痛とでは痛みの原因がそもそも違います。更年期からくる関節痛は安静にしていれば自然に治る、ということはほとんどないと言わざるを得ません。
それでもケアする方法はあります。痛みを和らげる対処法として関節の痛みを感じたときは、まずは無理のない範囲でストレッチや軽い運動を取り入れてみましょう。
それでも症状が続いてツライ場合は専門家に相談してみてください。
関節痛を和らげるセルフケアのコツ
関節の痛みがあると、日常の動作がつらく感じることもありますよね。
けれど「どんなケアをすればいいの?」「無理に動かしても大丈夫?」とわからない方もいるかもしれません。そんなあなたも今日から始められるセルフケアを試してみませんか。
栄養バランスの整った食事

栄養バランスの良い食事は、美容や健康に欠かせないものの1つ。それは更年期の関節痛のセルフケアをするためにも必要です。
特に、女性ホルモンと似た作用のある「大豆イソフラボン」が含まれている食品を積極的にとると、なお良いです。
また、ホルモンバランスを整えてくれるビタミンEや、リラックス効果が期待できるハーブを取り入れるのも良いでしょう。
・大豆の水煮
・納豆
・豆腐
ビタミンEが含まれる食品
・アーモンド
・かぼちゃ
・アボカド
リラックス効果が期待できるハーブ
・ローズ
・リンデン
・レモンバーム
適度な運動やストレッチを心がける
痛みがあると、その個所を動かしたくないかもしれませんが、適度に関節を動かすことで症状の進行を遅らせたり、痛みを和らげる効果もあります。
① 指に痛みがある場合
少しでも動かす習慣を身につけると、指関節の柔軟性を高めることができます。テレビを観ながらでもできる、簡単なストレッチです。
(1)痛みのあるほうの腕を前に伸ばす
(2)手をグーに握り、パーと開くという動作を20~30回繰り返す
ほんの少し指先を動かすだけでも大丈夫です。無理をせず、できる範囲で行いましょう。
指の関節痛は、特に朝起きた時に起きやすいとされています。朝起きた時にひどく痛む場合には、無理に手を握ったり開いたりせず、痛みがひどくならないよう、できる限り安静にして過ごしてください。
また痛みの初期段階は、痛む部位が炎症を起こしている可能性があります。炎症が起こっているときは痛みが気になるかもしれませんが、できるだけ動かさないようにしながら様子見をしましょう。
1カ月以上経っても改善せず、慢性化してきた場合には一度専門医に診てもらったほうが良いかもしれません。
② 膝や足首など足の関節に痛みがある場合

更年期からくる関節痛の場合は、痛みがあるからと動かさないままでいると、かえって筋力が衰え、関節への負担が増してしまう場合があります。
その対策として、おすすめなのが散歩です。痛くて歩くことができないほどツライ場合は、散歩を控えて医療機関に相談し指示を仰ぐようにしましょう。
体を温める
患部を温めると血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。指関節が痛む場合は、お湯を張った洗面器に手を入れ、曲げ伸ばししてみるのがおすすめです。
またはお風呂にゆっくり浸かったり、温湿布やカイロなどを上手に活用するなど、できる限り患部を冷やさないように心がけましょう。
思いっきりストレス発散してみる
痛みが発症している時は、その痛み自体がストレスになってしまうかもしれません。しかし、精神的な負担はかえって症状を悪化させてしまう可能性があります。
まずは決まった時間に気分転換してはいかがでしょうか。あなた自身が楽しめることから始めましょう。
絵を描いたり、楽器を弾いたり、読書をしたり……。時間を忘れて好きなことに没頭すると、ストレス発散にもなり気分もスッキリしてくるはずです。
症状が現れてから病院で診察してもらうことも必要かもしれませんが、まずはセルフケアをして自身の体を知ることも大切なケアの一つ。
理想的な関節痛の緩和や予防は、普段から定期的に運動をして栄養のある食事をきちんととること。さらに冷え予防またはストレスを溜めないようにすることです。
更年期の関節痛と勘違いしやすい病気
更年期に現れやすい症状の一つに関節痛を解説しましたが、関節痛の原因は必ずしも更年期とは限りません。では更年期による関節痛と似た症状を引き起こす病気とはどういったものがあるのでしょうか。
・膠原病(こうげんびょう)
・関節リウマチ
・変形性関節症
・ばね指 ・ドケルバン病
・手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
中でも「関節リウマチ」と「変形性関節症」は、更年期年齢の女性に多く見られる病気のようです。
「更年期だから仕方ない」と諦めたり、「関節が少し痛むくらいなら我慢できる」と軽く考えたりするのはよくありません。放置すれば症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
更年期の関節痛は、適切なケアをすれば健康を守りながら快適に毎日を過ごすことができます。しかしご自身では正しい判断が難しい場合もあるので、医療機関に相談することも考えてみてくださいね。
日々、きちんとケアして快適に過ごそう!

更年期は年を取ると誰もが通る道です。更年期は、同じ症状であっても重さの個人差が大きく、痛み方もまったく異なります。
大切なのは自分の体の状態を知ることです。関節痛はどんな時にどう痛むのか、まずはきちんと把握すること。そして自分でできる範囲でケアしてみて、それでも痛みが治まらない時は専門家に相談を。
更年期だから……と諦めず、前向きに自分の体と向き合って、より充実した生活を送りましょう。
