冬でもキレイな手元で
・寝床についたものの、なかなか寝付けない……。
・朝起きるのがつらい……。
・どれだけ寝ても寝た気がしない……。
・昼間にどうしても眠くなってしまう……。
このようなことでお悩みでは、ありませんか?
しっかり疲れが取れた状態で気持ち良い朝を迎えられると、充実した一日が過ごせそうな気がしますよね。
そんなお悩みに答えるべく、睡眠の専門家の監修のもと、睡眠の質を上げるためにはどうしたらいいのかをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠の質を上げるためにはどうしたらいい?
医学的に「睡眠の質」とは、客観的には睡眠ポリグラフィ検査(※)で安定した睡眠が得られ、深睡眠やレム睡眠という睡眠が年齢相応に得られていることになりますが、ただ、それだけでなく寝心地(熟睡感)という主観的な評価も重要になります。
では、睡眠の質を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか。
結論から言うと残念ながら「睡眠の質を上げる」というのは、決して簡単なことではありません。なぜなら睡眠の質は年齢を重ねるごとにどうしても低下してしまうからです。
私たちにできるのは、睡眠の質を今以上に低下させず、維持すること。これが重要となります。
睡眠の量(時間)も大切なポイント
食事と同じように、睡眠を大きく分けると「質」と「量(時間)」が挙げられ、この2つの要素はとても重要です。
睡眠の時間については、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」によると、「成人においては、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されます」と記されています。
睡眠時間が短くなると、脳のパフォーマンス低下や、昼間に居眠りしがちになってしまう可能性があります。
また、睡眠不足は脂肪の燃焼を妨げ、むしろ筋肉のほうが落ちてくるというデータが出ているので、特にダイエット中の方は睡眠時間をしっかり確保したほうが効果がより出やすいと言えます。
つまり、良い睡眠を得るためには、睡眠の質を今までより低下させない取り組みと、睡眠の時間をきちんと取れる環境づくりが大切です。
今日からできる良い睡眠のための5カ条
そもそも良い睡眠とは?
そのためにも今の生活習慣や食事などを見直してより良い睡眠環境を整えましょう。
睡眠にとって寝具との相性はとても大事!
音が静かであること、寝心地の良い寝具を揃えることが大切です。 寝具選びで大切なのは、“自分自身が”寝心地が良いかどうか。
高反発な素材が心地よい人がいれば、低反発な素材が心地よい人もいるように、寝具との相性は個人差が大きいからです。
そのため、口コミやSNSで流行っているものが全て良い睡眠に繋がるわけではないので、あくまで「自分の寝心地が良くなるか」という視点で寝具を選ぶようにしましょう。
体内時計のオンオフをしっかり切り替える
私たち人間は、昼間に行動し夜間は休む性質を持つ昼行性動物です。
昼間は光に当たり、夜になれば部屋を暗くして過ごすことで「体内時計」がリセットされます。
よく言われることですが、寝る前にスマホの光を見すぎると体内時計を乱してしまうので、なるべく避けたほうが良いでしょう。
休日前に夜更かしをしてしまい、不規則な生活を過ごしてしまうという方も多いのではないでしょうか。
そのような状態で普段の生活リズムに戻ってしまうと、なかなか寝付けなかったり、朝起きるのが辛かったりということが起きるので、休日であってもなるべく生活リズムを変えないように心がけましょう。
1.5~2時間の範囲内であれば、体内時計は戻りやすいので、その範囲内であれば睡眠の質への影響はそれほど大きくはありません。
朝食には大豆製品や乳製品がおすすめ!
睡眠や体内時計に作用するアミノ酸を多く含む食事を朝食でとることも重要です。
特に「トリプトファン」という必須アミノ酸を多く含む食品を食べて、明るい光を浴びると、夜間に睡眠や体内時計にとって必要なメラトニンが増えることが報告されています。
・豆腐などの大豆製品
・チーズやヨーグルトなど乳製品
また腸内細菌が睡眠の質に関係しているとも言われているので、乳酸菌入りの飲料を飲むのもいいかもしれません。
ただ、これらについては医学的に証明されているものではないため、あくまでも参考として自分の体に合った方法を見つけてみてください。
寝る前に避けたほうがいい飲料や食事の時間
カフェインやアルコールを、寝る直前にとらないようにしましょう。カフェインは覚醒作用があり、アルコールは寝つきが良くなるものの睡眠の質をかえって悪くしてしまうため、注意が必要です。
また、睡眠においては体がリラックスしておくことが大切なので、寝る前に食事をとらないように気をつけましょう。目安としては、寝床につく3時間前には食事を済ませておくと良いと思います。
寝る前に自分なりのリラックス方法を見つけましょう
寝つきをよくするためには、リラックスすることが大切です。
例えば、寝る前に読書をしたり、アロマを焚いたり、マインドフルネスを試してみたりと、様々なリラックス方法があります。自分が楽しめて、続けられそうなものを選んでください。
「早く寝なくては」と思えば思うほど、緊張したり不安になったりするものです。
そのような状態になると呼吸は自然と早まってしまうため、ゆっくり呼吸できる自分に合った方法を探しましょう。
おすすめのリラックス方法の1つとしてマインドフルネスのやり方を紹介します。
マインドフルネスとは「今の状況に集中している状態」を示す言葉。
雑念を消し、「今の気持ち」「今の身体状況」といった現実をあるがままに受け入れている状態のことです。
簡単にやり方を紹介しますので参考にしてください。
- 背筋をぴんと伸ばして座る
- 目は軽く閉じる
- お腹や胸が膨らむのを感じながら息を吸い、心の中で「膨らみ、膨らみ」と言いながら自然体でいることを心がける
- 呼吸は意識してコントロールせず、したいように呼吸する
- お腹や胸が縮むのを感じながら息を吐き、心の中で「縮み、縮み」と言いながら自然体でいることを心がける
まずは日常生活の見直しから!快適で質の高い睡眠を手に入れよう
快適で質の高い睡眠を得るためには、日々の過ごし方が大切になります。
朝スッキリと起きられるようになれば、普段の日常生活や仕事にもさらに良い影響を与えることができるようになるはずです。
まずは、身近にできるところからこれまでの習慣を見直し、良い睡眠がとれるよう生活を整えていきましょう。
それでも改善が見られずお悩みの方は、耳鼻科にて睡眠時間無呼吸症候群の簡易検査キッドをもらい試してみたり、睡眠の専門医へ受診してみたりすることをお勧めします。
大阪回生病院 睡眠医療センター 谷口充孝
1987年山口大学医学部卒業。1992年より大阪回生病院に勤務し、1998年に日本で2番目になる睡眠医療センターを開設。スタッフとともに、現在までに3万人を超える睡眠関連疾患の患者さんの診療にあたっている。この記事を読んだ人にはこちらの記事もおすすめ!
3時間睡眠でもパフォーマンスを発揮!忙しい人のための睡眠法とは?