冬でもキレイな手元で
アンゴラやカシミヤなど、冬の定番衣類の代表ともいえる、ウールのセーター(ニット)。保温性が高く、シワになりにくいので、何かと出番が多いだけに、シーズン中でも汗や汚れが気になることも。
でも、いざ洗濯するとなると、ふんわり仕上がらない、型崩れするかも……と躊躇してしまいがちでは?
ドライマークの衣類でも、家庭で洗えるものもあるので、その見分け方や洗い方などをご紹介しましょう。正しい洗濯方法を覚えておけば、お気に入りのセーターなどのニットをいつも清潔に、長く愛用できますね!
素材=ウールの特徴を知っておきましょう
ウールと聞くと、一般的には羊毛を指すことが多いですが、実は動物の毛の総称であり、アンゴラ・カシミヤを獣毛と言います。いずれも、弾力に優れてシワになりにくく保温性が高いことから、秋冬衣類の素材として人気です。
<CHECK☆ウールが「ドライマーク」なワケ>
ウールの表面には“スケール“といわれる、うろこ状のものが無数にあり、水に濡れるとスケールが開いた状態に。
その状態で、スケールが絡み合い収縮して硬くなることを「フェルト化」と言います。ウールが水を含んでフェルト化してしまうと、衣類としては縮みを起こしてしまうので、洗濯表示では「ドライマーク」となっているのです。
しかし、ドライマークに対応したドライマーク用洗剤は、フェルト化しにくくさせる工夫がされているので、家庭でのウールの洗濯が行いやすくなりました。
<CHECK☆他のセーターに用いられる素材>
ウールなどの動物性の素材の他に、植物性の素材の綿や合成繊維のアクリルもセーターなどのニット衣類によく用いられる素材です。
綿は吸水性もよく丈夫で洗濯でも扱いやすい素材。アクリルは、ウールに似て肌触りがよく保温性も高く、ウールより軽くて縮みにくい素材です。
どちらもウール素材より洗濯では扱いやすい素材ですが、お洗濯の際は中性洗剤を使った手洗いコースで洗い、干す時は平干しにし、シワや縮み、型崩れしないように注意が必要です。
<CHECK☆セーターの縮み>
ウールや綿は洗うと縮みやすい素材です。その原因は上でも述べたように水に濡れると繊維のフェルト化が起きてしまうためです。
一度フェルト化が起きて縮んでしまったセーターやニットを元の大きさに戻すのは非常に困難。洗い方を間違えると、一回の洗濯で着られなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
ウールのニットを洗濯する前にチェック!
まずは洗濯絵表示をチェック!
ウールの洗濯をする準備として、まずは洗濯絵表示を確認しましょう。「ドライマーク」=「ドライクリーニングができる」という意味を表します。
「ドライクリーニングしかできない」ということではないので、洗濯機マーク・手洗いマークが一緒に表示されている場合は、家庭での洗濯も可能です。 この場合、洗濯洗剤は、ドライマーク対応の中性洗剤を使いましょう。
※洗濯絵表示はこちら参照
色落ちチェックを忘れずに!
色柄もののセーターは、必ず色落ちチェックを行いましょう。
目立たない部分に洗剤原液を少量つけます。5分くらいおいた後、白いタオルなどで軽く押さえて、色落ちしていないかを確認します。
シミ・汚れがないか事前にチェック!
色落ちしないことを確認したら、シミやひどい汚れがないかをチェックします。気になる汚れがある場合は、洗剤の原液を直接つけて指でなじませてから洗濯機へ。
シミは、絵表示に従って、シミ抜き可能な場合のみ家庭で行います。
※シミの取り方はこちら参照
普段の取り扱いと洗濯の頻度にも注意!
ニットを長く着るためには、普段の取り扱いにも注意が必要です。一日着たら翌日は休ませて、裏返して干して汗などの湿気を飛ばすようにしましょう。
また、皮脂や汗はニットの虫食いの原因になるため、ニットはなるべく素肌に触れずに着るのがポイントです。脱ぎ着する時もメイクがつかないように注意してください。
ただ、ニットやセーターはそもそも汚れにくい服なので、こまめな洗濯は必要ありません。何度も洗濯するほうが縮みや傷みの原因になるため、1シーズンに1回以上を目安に洗濯すれば十分です。
毛の流れに沿ってやさしくブラシをかけて、ホコリを落とし繊維を整えることや、タオルでブラッシングして皮脂や汗などの汚れをとるなど、日々のお手入れを意識するようにしましょう。
ウールの洗濯は、手洗いがベター
ドライマークのウールのニットを洗うポイントは、型崩れや縮みの原因となる水の影響を最小限にすることです。
水に触れている時間を短く、濡れた状態での揺れを抑える……などを考えると、家庭で洗濯をするなら、手洗いがおすすめです。
表示が手洗いOKなら、洗濯機の「手洗いコース」も使えますが、桶などでの手洗いに比べて衣類へのダメージを与えやすいので、絶対に型崩れさせたくないニットなどは洗濯機でなく手洗いが安心です。
● 水温が高いことも縮みに繋がるので、30℃以下の水洗いで!
● 洗濯時間も短めに。できれば10分くらいで完了できるように。
● 水に濡れた状態で揺れるとフェルト化が進んでしまうので、動きは最小限に!
手洗いの場合
<How to>
洗面器や洗い桶などに水を張り、中性洗剤を入れて洗剤液を作ります。
液の中に丁寧にたたんだ衣類をそのままやさしく押し沈めたら、次に衣類の下に手を入れ浮き上がらせます。これを繰り返すことで、繊維の奥までしっかりと洗剤液を染み渡らせて汚れを落とせます。
洗い終わったセーターは、たたんだ状態のまま型崩れしないように洗濯機に入れて、30秒~1分間以内で脱水します。その後、すすぎと洗濯機での脱水を2回繰り返して完了。
2回目のすすぎの際に、柔軟剤を入れておくと、ふんわり仕上げ&静電気防止になります。
洗濯機で洗う場合
<How to>
洗濯機によって名称は異なりますが、ドライ用の専用コースを利用して、脱水まで行います。セーターを洗う時に温水を使うと縮みの原因になるので、必ず水洗いで! 洗剤は中性洗剤を使います。また、セーターを洗濯する場合は、傷みや型崩れ防止に「洗濯ネット」は必須と考えましょう。
<POINT>
● 洗濯ネットの大きさは、衣類を二つ折りにしてちょうど収まるサイズを目安に。
中に入れるものに対してネットが大きすぎるとネット内で衣類が動き回り縮みの原因になります。
●ネットに入れる際は汚れがひどい部分を表にし、1・2枚だけにしましょう。
たくさん詰め込みすぎると、汚れ落ちが悪くなります。洗剤、洗濯物を投入したら、柔軟剤を入れておきましょう。セーターをふんわり仕上げると同時に、静電気を防ぐ効果も期待できます。
セーターの型崩れしない干し方
ウールのセーターの洗い方をマスターしたら、干し方で失敗して伸びてしまった……なんてことにならないよう、正しい干し方も押さえておきましょう。一旦伸びてしまったセーターを元に戻すのは大変です!
また、セーター類を干す時は、黄ばみ・色あせ防止のため陰干しが原則です。
セーターを型崩れさせない干し方は、平干しで衣類の形をキープ!
ニット類の型崩れが起きるのは、水分を含んだ衣類をハンガーなどに掛けることで、水分の重みで伸びてしまうから。これを防ぐためには、「平干し」がベストです。市販の「平干し用ネット」など、専用グッズは型崩れの心配もなく安心して干せるのでおすすめ。
垂れ下がらない干し方を工夫して!
ベランダなどスペース的に平干しが難しい場合は、物干し竿や衣類ハンガーを使ってひと工夫。物干し竿にかける場合も、ハンガーを使う場合も、できる限り衣類を伸ばさないように、袖などが下に垂れ下がらないように干すことがポイントです。
※セーターの干し方はこちら参照
ウールのセーターのアイロンのかけ方
ウールはシワができにくい素材ですが、万が一シワが気になる場合は、アイロンのスチームを利用しましょう。
アイロンを浮かせながらスチームでふんわり仕上げ!
せっかく、ふんわり洗い上げても、アイロンで強くプレスしてしまうと、風合いがなくなってしまい残念な仕上がりに……。
ウールの弾力のある素材感を生かすためにも、アイロンを浮かせながらたっぷりスチームを当てた後、両手で軽く振りさばくと、ある程度シワは伸びます。
続けて、両手のひらでシワを伸ばしていけば、ふんわり仕上がるはず。このように、手を使ってシワを伸ばすことを「手アイロン」と言います。
●監修:中村 安秀
「クリーニングショップ中村」(大阪)店長
http://cl-nakamura.com/
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